数学

現在某国立大学の理学部数学科に在籍している。理学部数学科なんて一般の人(まあここで言う「一般の人」が誰を指すのかは議論が必要だが)にとっては縁もゆかりも興味もない場所だろう。「何を勉強してるの?」とよく聞かれるが当然答えは「数学」である。(このおきまりのやり取りはコントみたいで好き)で、そのあとだいたい「大学の数学って何やるの?」と聞かれるのであるが、この質問に適切かつ簡潔に答えられるほど自分は優秀ではないし大学数学は簡単ではない。

私自身は大変な不真面目学生であり、頭もそれほどよくはないが、数学および数学科での学びはわりあい好きである。

数学の好きなところは、ひたすらに純粋であるところ。数学の前では性別も年齢も国籍も身分も、たぶん住んでいる星も、関係なく平等である。当然そうだろうという素朴な定義から始めて、当然そうだろうという議論を丁寧に積み上げていくうちに、気づいたら驚くべき結論に達している。純粋であるからこそ、「何のために」とか「何の役に立つの」とかいうクソみたいな質問から遠く離れた地でその尊さを噛みしめることができる。

数学科での学びの好きなところはというと、「分からないことを分からないと認めることが大切であるという空気」である。数学は、1点でも理解が曖昧なところがあると、そこから先の議論を積み上げていくことが難しい。どんなに些細なことでも、あれちょっとこれわかんないなと思ったら、いちいち定義に戻って証明を考えるのである。そして数学をする人はみな分からないことに対して謙虚だ。分からないことは分からないと堂々と認める。その空気が清々しくて好きである。 

数学科は理系なのに実験がないし、(他がどうなのか知らないけど)うちの大学に至っては卒論もない。授業のコマ数も少ない。それゆえどうも気が抜けて、つい(つい?)授業に行かなくなってしまったりする。大学生活も折り返し、せっかく好きだと思える場に身を置いているのだから、楽しいと思うレベルに達せられるように努力したい。来学期こそは。

あー、努力、その言葉、あんまり好きじゃないんだよなあ。